学校に行きたくない気分の日というのは、誰でもあるものです。しばらく学校から足が遠のいている人もいるのではないでしょうか?
いったい、どんな理由でどれだけ休めば不登校ということになるのか、詳しく調べてみました。
不登校とは?どう定義されるのか?
一般的には年間30日以上の欠席が目安
文部科学省による定義によれば、不登校とは「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくてもできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いた者」とのことです。
つまり、欠席が年間30日未満ならば、不登校ではないということになります。
また、病気で入院中、家族がリストラにあって学費が用意できなくなったというような理由で学校に行けない場合も不登校ではありません。
ただし、不登校には定義されないからといって、欠席日数が50日を越えてしまえば留年から高校中退、というコースを辿りがちなのは変わりません。いずれにせよ、何らかの方法でせめて高等学校卒業資格を取得しておきたいところです。
日本政府が定義する不登校
文部科学省の「学校基本調査」によると、『何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しない、あるいはしたくてもできない状況にあること(ただし、「病気」や「経済的な理由」による者を除く)』を不登校と定義しています。
統計用語「理由別長期欠席者数」では、年間30日以上欠席する者は「長期欠席」であり、そのうち直接的な原因がない者に対して「不登校」として統計しており、年間30日以下の欠席は統計には含まれていません。
参考:文部科学省
不登校の分類
「不登校」の具体例としては、「学校生活上の影響」「あそび・非行」「無気力」「不安など情緒的混乱」「意図的な拒否」「複合」があり、不登校の原因も「学校生活に起因」「家庭生活に起因」「本人の問題に起因」と細かく分類されています。
なお、家庭の事情や旅行、連絡不明などは「不登校」ではなく「その他」に分類されています。
ただし、保健室登校やフリースクールなどへの通学を出席とするか、それとも欠席とするかは学校長の裁量によって決まります。
また、不登校の生徒は病気を理由に欠席することもありますので、文部科学省の調査が必ずしも全ての実態を反映しているとは限りません。
欠席と不登校の違いは?
学校に登校しない状態を「欠席」と言いますが、「欠席」が1日単位で用いられるのに対し、「不登校」はその日だけではなく不特定の時期(文部科学省の調査では年間30日以上の欠席)について用いられることが多く、一般的に区別されています。
ただ通信制学校の場合は月に数回の面接指導(スクーリング)以外は自宅学習が中心ですので、日常的に登校するわけではなく、「欠席」にも該当しません。
不登校児の数は年々増加しいている
文部科学省の発表によると、不登校児の数は年々減少傾向にあるとされています。
小学校から中学校までの統計しか出ていませんが、平成3年度の小学生の在籍者の合計は65,234人で、そのうち不登校になってしまった生徒は12,645人。中学生の在籍者の合計は103,069人で、54,172人。そのうち不登校になってしまった生徒は54,172人となっています。
しかし、平成25年度の調査では、小学生の在籍者の合計は55,478人で、そのうち不登校になってしまった生徒は24,175人。中学生の在籍者の合計は125,454人で、54,172人。
そのうち不登校になってしまった生徒は95,181人と爆発的に増加しているのです。
子供の数は減っているのに不登校児は増えている
少子高齢化が社会問題となっている日本で、子供の数、学生の数は減少しているのに不登校児の数は年々増加の一途を辿っているというのは、何らかの大きな問題が潜んでいるとしか考えられません。
その問題が何であるのかは、不登校児を取り巻く環境によってそれぞれで、個人によって問題の質は異なるのでしょうが、このまま放置していていいという問題ではないと言えるのではないでしょうか?
この問題の重大さを鑑みて、各自治体では様々な取り組みを行っているところもあるようですが、不登校児の増加傾向を数字としてみる限り、解決するには何をどうしたらいいのかわからない、手の差し伸べ方がわからない、どうやったらいいのかわからない、何もできない…という状態にあるように思えて仕方ありません。
無理にでも学校に行った方がいいとは一概には言えませんが、不登校である状態が健全なのかどうかを考えた場合、それは明らかにNOと言えるでしょう。
子供たちがどんな理由で学校に行けなくなってしまったのかは、様々な事情があり、全員を何とかするということはなかなか難しいことなのかもしれませんが、不登校児と一括りにするのではなく、生徒一人ひとりに目を向けた対策が必要となってきているのではないかと思えて仕方ありません。
不登校になる主な原因
学校生活が原因で起きやすい
文部科学省の調査によれば、やはり不登校の大きな理由のひとつは学校生活の問題です。いじめもそうですが、いじめでない人間関係のトラブルで不登校になってしまう生徒が増えています。
いじめではないので学校側も対応に困るケースです。
また、学校の勉強についていくことができずに不登校になる生徒もいます。一度、授業がストレスになって欠席が続くようになると、たまに登校してもさらに勉強がわからなくなっていてまた欠席してしまう……という悪循環に陥りかねません。
学業不振対策としては「どこからわからなくなったか」を明確にして、勉強し直すことが大事です。しかし、一斉授業ではなかなかそこまでサポートしきれないでしょう。
家庭に原因があって不登校になることも
学校生活にはとくに問題はなくても、家庭内不和、親子関係の悪化などから精神的に不安になって不登校に至る場合もあります。
特に両親の離婚など家庭環境の大きな変化が引き金となることも少なくありません。
しかし、文部科学省の調査によれば家庭に問題があって不登校となるケースは全体からすればごく少数です。
もちろん、家庭の問題は隠匿されやすいので、調査で実数が出にくくこの調査結果が正しいとは思っていません。家庭への悩みから不登校になってしまう子どもは一定以上いるでしょう。
特に小中学生は精神面・金銭面ともに家庭環境に対する依存が大きいため、家庭に悩みがあると不登校にも発展しやすいです。
一方で高校生になると精神的に親からある程度独立しているため、家庭に問題があっても自発的にアクションを起こしやすく不登校にもなりにくい傾向があります。
発達障害が隠れていることもある
発達障害もまた、しばしば発達障害の原因となります。特に高校生まで見過ごされがちなのがアスペルガー症候群です。
勉強はできてもなぜか周囲とうまくやっていけず、コニュニケーションに強いストレスを感じ続けているなら一度診察を受けてみるのもよいでしょう。
しかし、発達障害は病気ではありません。そのため、発達障害のせいで長期欠席している場合はたとえ通院中でも分類上は不登校になってしまうのです。
病気ではありませんが投薬やコミュニケーション方法の学習で楽になることもあります。その結果、不登校が改善されるケースもあります。ただその例はあまり多くはありません。
不登校を解決するには?
不登校の根本の原因を解決する
もちろん、不登校の原因が取り除かれ、ストレスなく登校を再開できるならばそれに越したことはないでしょう。しかし、問題が何も解決しないまま無理に登校を再開して、余計に精神的に追い込まれてしまう人もいます。
どうにか高校を卒業できたとしても、そこで力尽きてしまうケースも少なくありません。不登校は表面的には解決したように見えても原因は解決していないせいで、20代、30代、40代と引きこもり生活を続けたとなっては元も子もないでしょう。
別の道を探してみる
どんな原因で不登校になったにせよ、とにかく「毎日学校に通うのが厳しい」という状態であることは間違いありません。それなら無理をせずに登校しなくても勉強を続けられる方法を探してみてはいかがでしょうか。
たとえば、不登校の生徒のために用意されているフリースペースという学びの場を利用するのもひとつの方法です。全国各地にさまざまなフリースペースがありネットに情報も掲載されています。
マンツーマンの指導を受けられるところもあり、自分がわからなくなったところから勉強をし直すことができるでしょう。
不登校でフリースペースを利用する注意点
フリースペースでは確かに丁寧に勉強を見てもらえます。小学校、中学校なら学校のかわりにフリースペースに通学することで卒業することも可能です。
しかし、義務教育ではない高校はフリースペースでは卒業できない点に注意しましょう。
高校生はどんなに一生懸命フリースペースで勉強しても、高等学校卒業資格は取得できないのです。そのため、大学や専門学校を受験する資格を得ることもできません。
大学や専門学校に進学したいという希望を持っているなら、フリースペースは最良の選択とはいえないでしょう。
通信制高校に通ってみる
通信制高校はスポーツ選手や芸能人も利用していることがよくニュースになっていますが、実は元不登校の生徒も大勢在籍しているのはご存じでしたか?
通信制高校は毎日学校に通わなくても勉強を続ければ高校卒業資格を得られる他、少人数orマンツーマンの指導なので勉強も分からない部分から教えてもらうことができます。
不登校の生徒にとって、理想的な教育環境が整っていると言えます。
文字通り授業は通信制で行うことが多いため、入学・転入も随時受け付けている学校がほとんどです。興味がある方はまずは無料の資料請求をしてみることをおすすめします。
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不登校におすすめの通信制高校ってどんなところ?
不登校の高校生にぜひおすすめしたい通信制高校ですが「どんなところなのか想像できない」と、不安に思う人もいるでしょう。
通信制高校とはどのような学びの場なのか解説します。
学年制ではなく単位制を採用している高校
通信制高校が全日制高校や定時制高校と一番異なるのは、学年制ではなく単位制ということでしょう。学年という概念がないので、いつ編入したとしてもひとつ下の学年に入って気まずい思いをすることもありません。
卒業するには最低でも3年間在籍する必要がありますが、以前の学校における在籍期間もカウントされます。たとえば今は不登校でも1年は全日制高校に在籍していたな場合、あと2年通信制高校で学べば卒業できるというわけです。
自宅学習がメインの通信制高校
通信制高校での勉強は自宅学習がメインとなります。最近では教科書だけではなくCD-ROMやネットの動画などメディア教材も充実しているので、自宅で授業を受けている感覚で勉強できるでしょう。
単位の取得は定期的にレポート提出で行います。卒業するには高校課程の学科74科目の単位を取得する必要がありますので、3年で卒業したい場合は週に1回はレポートを提出していきましょう。
レポートといっても穴埋め問題のようなもので、ネットで調べながら作成することもできるので難しくはありませんが、ためると大変なのでコツコツ取り組むようにしましょう。
サポート校もある
「一人で勉強をやっていけるかな」「勉強が分からない」と不安な人は、通信制サポート校を利用するという方法もあります。
サポート校とは通信制高校の卒業をサポートする塾のようなもので、専任の先生が学習計画から勉強のサポートまでしてくれるので安心です。
オープンキャンパスを実施しているサポート校なら、通う前に雰囲気をチェックすることもできます。できれば何校か足を運んで、気持ちよく勉強できる環境を選ぶようにしたいところです。
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通信制高校にも登校日がある
通信制高校を卒業するには勉強だけではなく、ホームルーム、行事、クラブ活動などに30時間単位以上参加する必要があります。そのため、通信制高校にもスクーリングと呼ばれる登校日が設定されているのです。
ただ多くの通信制高校で登校日は週に1~2日程度なので、週5で通う全日制高校と比べれば負担にはならないでしょう。
ただルネサンス高等学校のように、一部は年にたった4日の登校日で卒業できる学校もあるので、どうしても登校を避けたい人はそのようなコースのある学校を選んでもよいかもしれません。
不登校の定義とはまとめ
不登校といってもずっと休んでいる生徒ばかりではありません。登校する日もそれなりにあるものの、年間30日以上欠席しているという人もいます。
もし不登校の定義に思い当たる節があり、「学校に行きたくない」という気持ちがあるなら無理して今の学校に通うのでなく、他の道を探すのもひとつの選択です。
日本の全日制高校の雰囲気は世界的に見ても独特ですので、空気や教育システムが合わない人もいて当然です。より自分に合っている勉強法を探してみましょう。
たとえば通信制高校なら毎日学校に通わずとも高等学校卒業資格を取得できますし、難関大学への進学も普通にできます。
通信制高校から東大などに合格した人のブログもあるので、参考にしてみるのもよいでしょう。気になる部分があればメールや電話で問い合わせもできるので、まずは複数の学校の資料請求をしてみることをおすすめします。