現在、高校中退者は年間およそ5万人にものぼると言われています。年間10万人以上が中退していた1990年頃と比較すれば数こそ少なくなったかもしれません。
しかし、さまざまな悩みから高校中退を選択する人がなくならないのも事実です。その理由や、中退後の進路はどうするべきなのでしょうか。
毎年5万人が高校中退しているその理由とは
進路変更を希望が35%と最多
文部科学省の「令和元年 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によれば、令和元年度に高校中退したのは4万8,594人いました。
出典:文部科学省「令和元年度 児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」
そのうち、「進路変更」を理由に高校中退した生徒は35.3%と最多でした。「進路変更」のうち最多を占めるのが「別の高校への入学を希望」する生徒です。
しかし、せっかく別の全日制高校に転入してもまた中退してしまう生徒もいます。どんな学校でもひとつの教室に何十人と集まって一斉授業を受けるというスタイルは変わりません。
そういった、学校のシステムそのものに適応するのが難しいならば、全日制高校でなく通信制高校などに編入するのは手です。
学校生活になじめない人が約34%と次点で多い
次点で約34%の生徒が「学校生活・学業不適応」を中退の理由にあげています。
「学校生活・学業不適応」の内訳は「人間関係がうまく保てない」「授業に興味が湧かない」「学校の雰囲気が合わない」などです。いじめや学校の勉強についていけないことが理由になっていることがうかがえます。
しかし、最も多かったのは「もともと高校生活に熱意がない」というもので、毎日登校して一斉授業を受ける……というような基本的な枠組みがそもそも合わなかったとも言えるでしょう。
経済的理由や問題行動は数%
- 進路変更:約35%
- 学校生活不適応:約34%
- 学業不振:約8%
- 病気・怪我・死亡:約4%
- 家庭の事情:約4%
- 問題行動など:約4%
- 経済的理由:約2%
- その他:約9%
「高校中退は不良がするもの」というイメージを持っている方も多いかもしれません。確かにそんな時代もありましたが、現在では問題行動から高校中退になる生徒は見ての通りほんのわずかです。
また、少ないながらも経済的理由から高校中退する人もいます。文部科学省による「平成28年度 子どもの学習費調査」によれば、お金がかからないと言われる公立高校でも3年間で平均して1,351,336円が必要とのこと。もっとお金をかけずに勉強できる学校はないのでしょうか?
高校中退から選べる進路を紹介
以上のように高校中退に至るにはさまざまな理由があります。そこで以下では高校中退後におすすめの進路について紹介していきます。
もう一度全日制高校へ入学する
全日制高校へ再度入学する方法です。
卒業すれば高卒資格を取得できる、偏差値の高い学校だった場合は大学進学で有利になるかもしれないというメリットがあります。
しかし1つ下の学年に編入される、中退から全日制高校に再度入学すると周囲の目や劣等感などがあるため、卒業までいける人は少ないというデメリットがあります。
また、全日制高校そのものが嫌で中退していた場合、この選択肢を取るのは難しいでしょう。
定時制高校に入学・編入する
定時制高校は様々な年齢・境遇の方がおり、中には高校中退を経験しているので全日制高校よりもずっと通いやすいです。
転入を受け入れていることが多いというメリットもあるのですが、授業を夜間に行う関係で授業の消化が遅く、卒業まで4年かかります。
また、毎日通わなくてはいけないのは変わらないので、学校が嫌で中退した人にはやはりおすすめはできません。
高卒認定試験の合格を目指す
大学進学を目指す場合、高卒認定試験(高認)の合格を目指すのも手です。合格すれば大学受験をする資格が与えられます。
しかし高卒認定試験に合格しても学歴は中卒のため、大学進学はせず就職をする場合はおすすめできません。
また、大学にいってもなんらかの事情で中退すると最終学歴は中卒というデメリットがあります。
試験のチャンスが年に2回しかなかったり、全科目に合格する必要があるなど、難易度や手間も見合っていないリスクもあります。
通信制高校に入学・編入する
「学校生活になじめない」というのは高校中退の大きな理由のひとつです。
しかし通信制高校は文字通り通信教育がメインなので、自宅での学習が中心となっているので、そもそも学校生活に馴染めないということがありません。
編入先を探す時も「今度こそ、なじめそうな学校にしたい」と、考える人も多いでしょう。
どんなに素晴らしい学校でもクラスのメンバーによってはまた「なじめない」ということにもなりかねません。
その点、通信制高校は安心です。入学・転入も常時受け入れており、中退前の出席日数や単位を引き継ぐことができるのもメリットです。
そのため、総合的にみれば高校中退からの進路としてはもっともおすすめとなっています。
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高校中退から通信制高校がおすすめな理由
どんな理由の高校中退でも、学び直すのにピッタリの通信制高校。全日制高校とはまったく違う学びの場ですが、具体的にはどのように勉強を進めていくのでしょうか?
自宅学習とレポート提出がメインだから
通信制高校では基本的に自宅での自学自習が中心となります。定期的にレポートを提出し、これが認められれば単位取得となる仕組みです。高校卒業資格を取得するには学科74単位を取得しなければいけません。
レポートといっても難しいものではなく穴埋め問題のようなものです。3年で74単位を取得したいならば、毎週2本程度コツコツと提出する必要があります。簡単だからといってあなどっていると「卒業に3年以上かかってしまった!」ということにもなりかねないので要注意です。
通信制高校にはサポート校もある
学業不振が理由で高校中退した人は「1人で勉強する」というのに強い不安を感じることでしょう。そんな時はサポート校を利用するのもひとつの方法です。
サポート校とは通信制高校での勉強を補う塾のようなものでマンツーマンでの指導などを行っています。中学レベルからのやり直しもできますし「初めて勉強が面白いと思った」という人も少なくありません。ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。
全日制よりも登校日が少ないから
通信制高校にも週に1~2日程度の登校日があると言うと驚く人もいます。しかし、高校卒業にはホームルーム、行事、クラブ活動などの特別活動に30時間単位参加することも必須条件なので、どうしてもある程度は登校しなければいけません。したがって、どの通信制高校でもスクーリングと呼ばれる登校日が設定されています。
ただ、年に4日程度のスクーリングで特別活動の単位を取得できるようになっている通信制高校もあります。リゾートホテルに宿泊しながら行う学校もあるので、登校というよりは旅行に近いイメージで単位取得できることもあります。できるだけ自分のペースで勉強したいと考えるならば、こういった学校を選択しても良いでしょう。
テストで留年の心配がないから
全日制高校では学期ごとの中間テスト、期末テストが結構な負担になるものです。もし、ひとつでも赤点を取れば進級できない可能性があるというプレッシャーもつきまといます。
一方、通信制高校にも定期テストはありますが、そもそも学年制ではなく単位制なので落第の心配はありません。
また、通信制高校での定期テストは簡単な内容がほとんどです。レポート提出をまじめに続けていれば解ける問題ばかりなので、テスト対策としてはレポートを見直す程度で十分でしょう。ただ、返却されたレポートは捨ててしまわずに、定期テスト対策のためにとっておくように注意してください。
過去に問題行動を起こしていても通信制高校なら安心だから
もし、何かしらの問題行動で高校中退していた場合、他の全日制高校への転入は難しいかもしれません。
しかし、通信制高校はすべての学校ではありませんが、受け入れてもらえる可能性が高いのも特徴です。
入学試験の際の面接で過去の問題行動について聞かれることはあるでしょう。その時に深く反省していること、真剣に勉強し直したいと考えていることをしっかりと伝えると入学できる可能性が高いです。
通信制高校の入学試験は「受け入れるためのテスト」とも言われています。そして他にも過去に不登校やいじめなどで中退をした方がたくさんおり、再スタートの場所として機能しています。
学費もリーズナブルで済むから
通信制高校の学費はとてもリーズナブルです。公立の通信制高校ならば入学金は500円、1単位あたり300円程度しか学費がかかりません。およそ10万円で卒業できる計算になります。
さらに、就学支援金制度を使えば学費が実質無料になってしまうことも!就学支援金制度は保護者の年収が910万円未満ならば利用することができて、奨学金などと違って返済義務がないのも魅力的です。
経済的な理由から高校中退してしまった人も、ぜひ、就学支援金制度を活用して通信制高校で再スタートしてみてはいかがでしょうか。
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どんな理由で高校中退しても通信制高校でやり直せる!
ここ数年、高校中退率は1%台を推移していることからもわかるように、高校中退という道はけっして「王道」ではありません。多くの人とは違う道を歩むことになる覚悟は必要です。
しかし、だからといって間違っているわけではありません。高校中退に至ったのには、さまざまな理由があるはずです。なんとか我慢して高校を卒業したものの、そこで心身ともに限界に達してしまった……ということになるぐらいならば、自分を守るために高校中退を選択することも必要と言えるでしょう。
高校中退した時に心配なのは、そのままでは最終学歴は中卒になってしまうという点です。中卒では就職に不利なのは事実ですし、大学受験資格もありません。高校卒業程度認定試験いわゆる高認を経て大学受験にチャレンジする方法もありますが、高認だけでは高卒資格は取得できません。大学にせっかく進学しても中退するようなことがあれば、やはり、最終学歴は中卒となってしまうリスクがあるというわけです。
一方、通信制高校ならば高卒資格をしっかりと取得できます。全日制高校とはまったく違う学びの場なので、どんな理由で高校中退した人でも、今度こそとことん勉強できるでしょう!ただ、通信制高校と一口に言ってもさまざまな学校があります。一覧表で比較したり、在校生のブログを読んだり、資料請求したりして、自分にピッタリの学校を選択してみてはいかがでしょうか。