記事監修者
中村真里子
■保有資格
社会保険労務士 ファイナンシャルプランナー(CFP・1級ファイナンシャル・
■プロフィール
2010年社会保険労務士・FP 中村真里子事務所開業。
裕福ではない家庭で育ち、四年制大学に行きたい願いは叶いませんでした。なんとか短大に入学したものの授業料はすべてアルバイトで賄いました。
生きていくには「お金の知識と知恵」が必須です。HPでは家計管理や社会保険、投資に関する情報を発信しています。
■記事の監修に際して一言
「学ぶ」ということは一生続きます。全日制の高校に馴染まないお子さんでも学ぶことはやめてほしくありません。
そのため通信制の高校も選択肢の1つとして考えていただきたいと思いながら監修を行いました。
■ホームページ
https://fp-mariko.amebaownd.com/
全日制高校の場合、卒業までにかかる費用は決して小さな額ではありません。
一方、通信制高校は全日制高校よりもリーズナブルなケースが多く、他にも様々なメリットがあります。
以下では通信制高校の学費について分かりやすく解説しつつ、メリットやその他の平均費用も紹介します。
通信制高校の学費(費用)の平均は?
まず、通信制高校には公立と私立の2種類があります。
そして公立と私立ではかかる学費や諸費用も異なってきますので。まずは以下でおおよその平均の目安を紹介していきます。
費用の種類 | 公立 | 私立 |
---|---|---|
入学金 | 500円 | 1〜5万円 |
学費(授業料) | 年間1〜2万円程度 ※1単位300円〜500円 |
年間18万円〜 ※1単位5,000円〜12,000円 |
教科書代や施設費など 授業料以外にかかる費用 |
年間2~3万円程度 | スクーリングなし:年間3万円~ スクーリングあり:年間10万円~ |
合計 | 3〜6万円程度 | 15万円〜30万円程度 |
平均費用だけを見ると公立の方が安く済む
年間費用は学校や地域によりますが、基本的には公立のほうが10万円~安く済むことが多いです。
ただ、私立は公立よりもサポートが充実しており、後述する就学支援金で利用できる額が大きいです。
そのため、年間の入学者数は公立が約55,000人なのに対し、私立は約150,000人となっており、私立の方が三倍多くなっています。
公立の通信制高校でかかる学費について
公立の通信制高校の学費は管轄している地方自治体によって定められます。
たとえば東京都なら入学金は500円、授業料は1単位あたり336円です。通信制高校は卒業するのに74単位を取得しなければいけないので、おおよそ3万円が必要となる計算になります。
スクーリングなどの登校日にかかる費用を合算しても、6~10万円で卒業できると考えられます。ただ後述する事情で公立の通信制高校を3年で卒業するのが難しいため、実際にはさらに数万円の費用がかかることが多いです。
ただ公立の場合は後述する就学支援金により、学費はほぼ全てカバーすることが可能です。
私立の通信制高校でかかる費用について
全日制高校と同じように学費は公立よりも私立の方が高くなります。入学金は1万円~5万円、授業料は1単位あたり5,000円~12,000円ほどかかるので、その他費用を合計すると年間で15万円~30万円は必要でしょう。
このように公立の通信制高校よりも費用は高額ですが、同じく私立の全日制高校と比較すれば私立の通信制高校の学費はリーズナブルです。
ただ、学校によっては費用がさらに高額です。サポート校も合わせると年間で100万円ほどの費用がかかってしまうケースもあります。
しかし私立の通信制高校も令和2年より同様に就学支援金制度が使えますので、昔よりも実際に支払う学費は大幅に安くなっています。
通信制高校の学費を抑えられる制度について解説
令和2年4月より通信制高校の学費に就学支援金制度が使える
就学支援金制度とは、正式名称「高等学校等就学支援金」という国が学校の学費を負担してくれる制度です。その最大の特徴は適応の幅が広く、返還不要な制度である点でしょう。
令和2年4月より制度改正で通信制高校でも利用でき、世帯収入が910万未満であれば人によっては授業料が実質無用となります。
適応される支援金の金額
高校の種類 | 世帯年収 | 就学支援金支給額 |
---|---|---|
公立通信制高校 | 約910万円未満 | 336円/単位 ⇒授業料は実質無償 |
私立通信制高校 | 約590万円未満 | 最大12,030円/単位 ⇒授業料は実質無償 |
私立通信制高校 | 約590~910万円未満 | 最大4,812円/単位 ⇒授業料が大幅に安くなる |
このように就学支援金制度により、多くの家庭では通信制高校の学費が無償化、もしくは大幅割引になります。
ただ注意点として就学支援金には支給期間と支給額(単位数)に上限があるということです。
私立も公立も支給期間は4年間かつ74単位まで(年間30単位が上限)となっています。卒業に4年以上かかってしまうと、支援金の支給はなくなってしまいます。
その辺りの詳細は以下の記事をご覧下さい。とりあえず多くの家庭で使えるお得な制度であることには間違いありませんので、世帯年収をみて利用できそうなら必ず利用しましょう。
その他の制度を利用する
- 各地方自治体、都道府県の奨学金
- 授業料が免除される「特待生制度」
地方自治体、都道府県の奨学金
各地方自治体、都道府県が行っている奨学金制度は無利息のものが多いです。
中には返還義務がなかったり、卒業すると返還が免除される制度もあるので、利用できる場合は積極的に活用していきましょう。
特待生制度
通信制高校の中には、学費や施設利用料が免除、半額になる特待生制度を設けている所もあります。
例えば過去にスポーツで優秀な成績を修めている、他社にはない秀でたスキル、一芸を持っている方であれば特待生として入学できる可能性があります。
就学支援金制度を活用しても学費が厳しい場合、特待生制度の利用を狙ってみるのも良いでしょう。
参考:ルネサンス高等学校(特待生制度のある学校)
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実は全日制高校よりも通信制高校の方がお得
公立の全日制高校はあまり学費がかからないイメージを持っている人も多いかもしれません。
しかし、通学費、修学旅行費などを含めた「高校に通うための費用」を合計すると、1年間に平均して20万円以上が必要となります。
私立の全日制高校となれば当然のことながらそれ以上に費用がかかります。文部科学省が平成26年に行った「子供の学費調査」では、次のような結果が出ています。
全日制高校の「学校教育費」
公立校 | 242,692円 |
---|---|
私立校 | 740,144円 |
同調査によればここに学校外活動費をプラスすれば、公立高校で約41万円、私立高校で約99.5万円かかるというデータも出ています。
これだけで家計を圧迫するには十分な費用といっても良いでしょう。
参考:文部科学省「子供の学費調査」
全日制高校も就学支援金は使えるが、学費以外の負担が大きい
ただ、全日制も世帯年収が910万未満などの諸条件を満たしていれば、公立であれば学校教育費はほぼ無料になりますし、私立でも費用を大きく抑えられます。
そのため、通信制も全日制も学費は高額な一部の学校を除きそれほど変わりません。
全日制高校で発生する学費以外の費用
全日制高校は初年度に制服代など、通信制高校にはない様々な費用がかかります。全日制高校は部活に半ば強制的に入部させられることも多く、入部した場合は指定のバッグ、練習着、道具などを購入しなければなりません。
学校 | 公立高校の補助学習費用 | 私立高校の補助学習費用 |
---|---|---|
1年 | 13.7万円 | 20.4万円 |
2年 | 16.1万円 | 23.2万円 |
3年 | 23.3万円 | 31.9万円 |
参考:文部科学省 子供の学習費調査
以上のように補助学習費用は学年が上がるほど増えていきます。
逆に通信制は入部の強制は一切なく、eスポーツ部やネイル部、美容部など全日制にはない豊富な部活の中から、自身がやりたい部活があった場合に自分の意志で入部する形になります。
余計な費用も発生しませんし、するとしてもお子さんの夢ややりたいことを応援するお金になります。
そのため、実は費用面では通信制高校の方がお得です。
大事なのは本人の意思
しかし、なんらかの事情で通信制高校への入学・転入を検討しており、この記事を読んでいる場合、当たり前ですが通信制高校を選んだ方があなた本人、もしくはお子さんの将来にとって良い選択となる可能性が高いです。
一度入学してしまうと簡単に学校を変えることはできないので、後悔のない選択をするようにしましょう。
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通信制高校で学費以外にかかる費用は?
- スクーリング(年数回~)の交通費:約5,000円(通学距離・登校の回数による)
- サポート校:約50万~100万
交通費は全日制高校でも発生するものですので、特に問題ないかと思います。
気になるのが、聞き慣れない方も多いと思われる「サポート校」の費用だと思います。
サポート校とは、学力に自信がない、勉強をサボりがち通信学習で卒業できない方のために、勉強や単位取得をサポートしてくれる機関です。
高額な学費は発生しますが、卒業までかなりきめ細かやかにサポートをしてもらえるので、高い人気をほこっています。
また、進学コースなら難関大学へ進学できる方も多かったり、ゲームやアニメ、美容といった生徒が楽しめるコースが充実しているなどメリットが多いです。
通信制高校の学費以外のメリット
自分のペースで学習できる
全日制高校は基本的に月曜日から金曜日まで毎日登校しなければいけません。満員電車で通学して学校に着いた時にはヘトヘト……という人もいるでしょう。
しかし、通信制高校は自宅学習が基本です。全日制高校に往復2時間ほどかけて通っているような人と比較したら、3年間でどれだけ時間を有効活用できるでしょうか。
制服を着たり、身支度を整える必要もありません。面倒な校則などを気にせずにリラックスした状態で勉強できるのです。休憩時間に気分転換に少しゲームをすることだってできるでしょう。自分のペースで勉強したい人にとって最高の環境といえるのではないでしょうか。
人間関係のわずらわしさがない!
通信制高校といっても、一切学校に登校しなくていいわけではありません。スクーリングと呼ばれる登校日もあり、参加することが卒業の要件でもあります。
しかし、基本的にスクーリングは月に数回程度、中には年に数日のみというコースを設けている通信制高校もあります。希望次第で学校に足を運ぶ機会を極力減らすこともできるのです。
通信制高校への入学を検討している人の中には、全日制高校でいじめなどの強いストレスにさらされ、勉強に集中できなくなっている人もいるかもしれません。そんな時は、通信制高校で再スタートするというのもひとつの方法です。
大学受験に特化した通信制高校もある
通信制高校の中には、全日制高校以上に大学受験のサポートを提供している学校もあります。大学受験専門講師の少人数指導などを行い、生徒1人1人に合わせた指導をしてくれるのです。
もちそん、そういった教育を実施しているのは私立の通信制高校なので、学費はそれなりにかかります。しかし、たとえば私立全日制高校と受験塾を併用するよりはリーズナブルであることは間違いありません。また、通信制高校での勉強がそのまま受験勉強にもなるなど、効率の良い学習を進めることができるでしょう。
カリキュラムが多彩!
通信制高校は大学受験に特化したところがある一方、勉強以外の多彩なカリキュラムを設けているところもあります。
例えばアニメ・声優・イラスト・ファッション・美容・ダンス・プログラミングなど、子供がやりたいことをやりつつ将来に繋がりやすい専門知識を学ぶこともできるのです。
また、漁業体験、酪農体験などの体験学習が実施されることもあります。
通信制高校の特殊なカリキュラムの中でも人気が高いのが芸能コースです。すでにタレントとして活躍している人はもちろんのこと、芸能界にデビューすることを目標にしている人も数多く通っています。
仕事やレッスンのスケジュールがいっぱいで全日制高校に通学するのが難しくても通信制高校ならばスキマ時間に勉強することもできます。また、豊富なオーディション情報を提供してもらえたり、芸能プロダクションと提携している通信制高校もあるので、本気で芸能界を目指している人はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
より詳しいメリットは以下で紹介していますので、合わせてご覧下さい。
通信制高校の学費、費用まとめ
通信制高校の学費は高いというイメージがありますが、全日制高校に3年通った場合と比較すると制服や部活の費用がかからない分リーズナブルです。
もちろん、私立通信制高校の中には全日制高校並みに費用がかかる学校もあります。ただ進学コースやサポート校を選べば大学進学のために塾へ通う必要もなくなるので、結果として費用を抑えることも可能です。
また、通信制高校の魅力は学費の安さだけでなく。自分のペースで勉強できる、わずらわしい人間関係がない、多彩なカリキュラムを体験できるなど、全日制高校にはないメリットが満載です。
通信制高校と一口にいってもさまざまな学校があります。まずは無料の一括資料請求をして、その中から気になる学校に問い合わせをしてみることをオススメします。