最近は通信制高校の認知度も上がってきていますが、全体で見ると中学卒業後の進路は全日制の高等学校を選ぶ人が圧倒的に多いです。
そのため、通信制高校に行くのは「特別な事情を抱えている人」というイメージを持っている方が多いかもしれません。
また、「通信制高校に行きたい」と思っても、どういった生徒が通っているのか分からず不安という方もいるでしょう。
そこで当記事では通信制高校の生徒はどんな人が多いのか紹介しつつ、口コミにあるように通信制高校の生徒はやばい、ずるいのかも解説していますので参考にして下さい。
通信制高校の生徒はどんな人が多い?
早めに専門知識を身につけたい人
通信制高校の中には、イラストやデザイン、美容師など専門コースを用意している学校があります。
たとえばヒューマンキャンパス高等学校ではメイク・美容やネイル、ファッション、プログラミングなど40以上の分野に特化した専門コースがありますし、通信制高校サポート校のトライ式高等学院では、現役で活躍するプロのマンガ家やイラスト作家、サッカー選手から授業が受けられます。
専門コースがある学校に通えば高校卒業を目指しながら専門職の知識を学んだり、学習内容によっては経験を積んだりできるので、早めに専門知識を身につけて社会で活躍したいと思っている人は通信制高校を選んでいます。
夢や目標がある人
通信制高校の専門コースでは、声優やタレント、ダンス、eスポーツなどの全日制には存在しないカリキュラムもあるので、夢や目標を叶えるために通信制高校に通っている人も多いです。
声優やタレントになりたい、eスポーツで活躍できるプロゲーマーになりたいなどの夢や目標がある場合、少し前までは専門学校に進学するのが一般的でした。
もちろん専門学校に通うという方法もいいのですが、認可校ではない専門学校の場合は最終学歴は中学校卒業になってしまいます。
また、高校を卒業してから専門学校に行くと、高校に通う3年分夢を叶えるまでに時間がかかってしまいます。
一方、多彩なジャンルの専門コースがある通信制高校なら高卒資格取得の学習をしながら専門的な授業も受けられるので、時間を無駄にすることなく夢や目標に近づくことが可能です。
全日制高校を中退した人
高校では学年制と単位制という二つの仕組みがあり、通信制高校の多くは単位制を採用しているので、全日制高校を中退した人が編入をした場合、それまでに修得した単位を引き継ぐことができます。
学年制は、1年で35単位時間の授業を受けたり課題を提出したりすることで履修となり、中間・期末試験で決められた点数以上の得点を取ることで単位修得となります。
そのため、年度途中で退学した場合は単位が取得できないので、学年制の学校に編入する場合は退学した学年からのスタートになってしまいます。
一方、単位制であれば、全日制高校在学中に修得した単位を引き継げるので、一から単位を修得する必要はありません。
また、卒業するには「3年以上在籍すること」も条件になりますが、以前通っていた高校の在籍期間が含まれるので、たとえば2年生の終わりに中退した人は、通信制高校に1年在籍すれば残りの単位を修得するだけで卒業できます。
つまり、中退をした場合は単位制を採用している高校に編入した方が早く卒業できるので、通信制高校には全日制高校を中退した人もたくさん通っているのです。
不登校の経験がある人
通信制高校には小中学校で不登校だった生徒も多く在籍しています。
これは、通信制高校の多くは自宅学習が中心であり、年間登校日数が30日以下という所が多い(中には1年で4日間、集中スクーリングするだけで良い学校もある)ので、学校に通えない人でも無理なく高校卒業ができるからです。
また、不登校の期間があると学習が遅れるので、それが原因でますまず学校に通いにくくなるケースも多いのですが、通信制高校は学習の個別指導を行なっていたり、少人数制を採用している学校が多いので勉強面はもちろん精神面も手厚くサポートしてもらえます。
中には不登校児童の相談窓口を開設していたり、メンタルケア専門のカウンセラーを常駐させている学校もあります。
このように不登校経験がある生徒を受け入れる体制が整っているので、安心して高校卒業を目指すことが可能です。
なにかに縛られず自分のペースで勉強したい人
通信制高校は毎日登校しなくても良いので、自分のペースで勉強したいという人も多く通っています。
全日制高校は登校時間も時間割も決まっています。つまり、学校が決めたスケジュールに縛られてしまうため、自分のペースで勉強を進めることはできません。
授業に関しても、個人が学習内容を理解しているいないに全体に合わせて進められていくので、苦手な科目などはついて行けなくなることもあります。
一方、通信制高校は自主学習が基本で時間割もありませんし、授業もオンラインや動画を使って行なわれることが多く、周りに合わせる必要がないため自分のペースで勉強したいという人に適しているのです。
発達障害や起立性調節障害など何らかの事情がある人
通信制高校には、集団授業を受けるのが困難な発達障害の方や、午前中に活動するのが難しい起立性調節障害の方も多数通っています。
これは通信制高校が通学日数やスタイルを自由に選ぶことができ、卒業条件の一つであるスクーリングへの参加も映像授業で代用できる学校もあるためです。
そのため、障害を持っている方でも問題なく卒業を目指せます。
全日制高校でも発達障害などなんらかの障害のある方を受け入れている学校はありますが、不特定多数の人間が周囲にいる中で約50分の授業を静かに聞いているのはかなりの苦痛です。
また、起立性調節障害の方が無理に朝から授業を受けると、負担がかかり症状が悪化する可能性があります。
通信制高校であれば自分で学習プログラムを組めますし、学習が進められなくても症状や理解度に合わせて個別にサポートをしてもらえるので安心して通うことが可能です
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通信制高校の生徒はずるい?やばいって本当?
毎日通学をしなくても良い、ほとんどの通信制高校では学力を判断する入学試験を行なわないなどの理由から、通信制高校の生徒に対して「ずるい」、通っている生徒は「やばい」と思っている方もいます。
しかし、通信制高校の生徒は本当に「楽して高校を卒業できるずるい人」「学力が低いやばい人」なのか、以下で解説していきます。
ずるいと思う人もいるが、ずるくない
通信制高校の生徒を「ずるい」と思う人はいますが、通っている人は特別ずるいことをしているわけではありません。
暑い日も寒い日も毎日通学をして、何時間も授業を受けなくてはいけない全日制高校の生徒からすれば登校日が少なく、自分で自由に勉強のスケジュール管理ができる通信制高校の生徒に対し「ずるい」と感じることもあるでしょう。
しかし、通学の必要がなく自由な時間に勉強ができるとしても、単位を取得しなければ卒業(もしくは高校卒業認定資格の取得)できないのは全日制高校と同じです。
時間が自由に使える反面、勉強のスケジュールを自分でしっかり組み立てて実践しなくてはいけないという大変さもあるので、ずるいんじゃないかと後ろめたい気持ちのある方は堂々と胸を張って通って下さい。
通信制高校は「ずるい」と思う人がいるくらいメリットが多い
上述したように通信制高校の生徒は決してずるくありません。
ただ「ずるい」と思う人が多いのは、そう思っても仕方がないぐらいメリットが多いからです。
【通信制高校のメリット】
- 全日制高校よりも学費や諸費用が安い
- 生徒一人ひとりへのサポートが手厚い
- 自分の好きな時間、好きな場所で勉強が進められる
- 全日制高校のような厳しい校則がない
- 基本的に単位制なので留年することがない
- eスポーツやアニメ、スポーツなど趣味の知識を学校で学べる
通信制高校は基本が自宅学習となるので、教材や制服、積立金などにやたらとお金がかかったり、時間や規則に縛られたりすることが少ないです。
登校があまりないので髪色は自由ですし、勉強を昼に起きてから始めたり、お菓子を食べながら進めたって誰にも怒られません。
結果を出して単位さえ取得すれば良いので自由度が非常に高く、また必要なときには教師から個別で学習の相談に乗ってもらったり、専属のカウンセラーのサポートが受けられます。
このように全日制高校にはないメリットがたくさんあることから、妬みに近い感情を抱いてしまい通信制高校の生徒=ずるいと言ってくる人もいるのです。
通信制高校はやばくもない
通信制高校の多くは学力を判断する入学試験を行ないませんので、偏差値もなく、学力が低い人でも面接や書類審査に合格すれば入学できます。
一般的に「学力が低い=不良や何らかの問題がある」というイメージがあるので、通信制高校はやばい人が多いと思う方も少なくありません。
しかし、いじめなど何かしらの理由で不登校になってしまった、病気や障害で授業が受けられなかった、スポーツに打ち込んでいて勉強をしていないなど、学力が低い理由は人によって違います。
もちろん中にはただ勉強が嫌い、サボっていたというだけの人もいるかもしれませんが、「やばい」人はほとんどいません。生徒の大半は通信制高校を選ぶ理由・事情があるだけです。
実際、文部科学省の調査でも非行経験を有する生徒の割合は一番少ないことが分かっています。
狭域通信制高校 | 広域通信制高校 | |
---|---|---|
小・中学校及び前籍校における不登校経験がある生徒 | 48.9% | 66.7% |
外国とつながりがある(外国籍・日本語を母語としない)生徒 | 2.8% | 2.4% |
ひとり親家庭の生徒 | 26.9% | 18.7% |
非行経験(刑法犯罪等)を有する生徒 | 2.1% | 4.1% |
特別な支援を必要とする生徒 | 11.8% | 3.0% |
心療内科等に通院歴のある生徒 | 11.0% | 4.8% |
出典元:文部科学省 高等学校通信教育の現状について
通信制高校の生徒は、「高校を卒業したい」という意志を持って入学しているので、やばい人はほとんどいないといっても過言ではないでしょう。
学力検査や進学率の低さがやばいと思われる原因
通信制高校の生徒が「やばい」と思われるのは、前述した入学時の学力検査がないことや、進学率が低いことが原因だと考えられます。
全日制高校でも偏差値が最低ラインの学校は「非行経験があるやばい人が通う高校」というイメージが根付いていますし、実際に偏差値が低い高校は進学率も低いので通信制高校も同様のイメージを持たれてしまっているのかもしれません。
しかし、前述したように通信制高校の生徒の多くは全日制の学校に順応しづらい人、もしくは好きなことをするために自由な時間が欲しいという人です。
進学率に関しても全日制高校と比較すると少ないですが、平成30年度であれば通信制高校の大学進学率(※)は私立が19.1%で公立は11.2%となっています。
※文部科学省 高等学校通信教育の現状について参照
また、専修学校(専門課程)進学率は私立が23.3%、公立は11.7%となっており、通信制高校の中でも「トライ式高等学院」は大学進学率が68.5%になっているなど、一概に進学率が低いという事もないので、やばい人が行くところではないことが分かります。
通信制高校に通っている生徒は年々増加している
文部科学省では「高等学校の生徒数の推移について、近年、全日制・定時制課程の生徒数は全体として減少傾向にあるが、通信制課程の生徒数は全体として増加傾向にある。」という見解を示しており、実際下表にあるように通信制高校に通う生徒は年々増加しています。
公立通信制高校 | 私立通信制高校 | 生徒数合計 | |
---|---|---|---|
平成2年 | 97,271人 | 69,715人 | 166,986人 |
平成7年 | 97,330人 | 56,653人 | 153,983人 |
平成12年 | 107,854人 | 74,023人 | 181,877人 |
平成17年 | 93,770人 | 89,748人 | 183,518人 |
平成22年 | 86,843人 | 100,695人 | 187,538人 |
平成27年 | 66,702人 | 113,691人 | 180,393人 |
令和1年 | 56,373人 | 141,323人 | 197,696人 |
出典元:文部科学省 高等学校通信教育の現状について
平成2年と令和1年の生徒数を比較すると、公立通信制高校は減少傾向にありますが、私立通信制高校は約2倍になっています。
今はまだ全日制高校への進学がスタンダードだとしても、通信制高校を選択する子どもが増えているのも事実なので、「通信制高校に行く人はずるい・やばい」というイメージにとらわれず、資料を取り寄せて学校のカリキュラムや教育方針などを見てから判断することをおすすめします。
子どもが減っているのに通信制高校は3倍以上増えている
少子化により子どもの数が減少しているため、全日制・定時制高校は平成2年の5,506校をピークに令和1年には4,887校まで減少しています。
一方、通信制高校の学校数は平成2年の時には私立と公立を合わせても84校しかありませんでしたが、令和1年には約3倍の253校となっています。
前述した年々生徒数が増加しているデータからも分かる通り、通信制高校のニーズは毎年拡大していることが分かります。
子どもの数が減少しているにも関わらず、入学する生徒が増えているのは、やはり通信制高校が全日制と比較してメリットが豊富なためでしょう。
ただ、いくら通信制高校の学校数が3倍になったといっても、全体で見れば全日制・定時制高校の数の方が圧倒的に多いので、全日制への進学を当たり前と思っている親御さんからすれば、子どもが通信制高校に進学するのは抵抗があるかもしれません。
しかし時代は変化しており、現在は通信制高校への進学は子どものために考えるべき選択肢の一つとなっています。
通信制高校の生徒についてまとめ
一昔前であれば通信制高校の生徒の多くは内申書が悪すぎて全日制高校に行けない人でした。
しかし、今は「学校に縛られず自分の好きなことに打ち込みたい」「高校に行きながら専門的なことを学びたい」など前向きな理由で通信制高校に進学する人も増加しています。
そのため、通信制高校は「ずるい」「やばい人が多い」という周囲の声は気にせず、興味のある方は通信制高校への入学をぜひ検討して下さい。
もちろん、「学校には行きたくないけど高校だけは卒業しておきたい」という人も通信制高校はしっかりサポートしてくれるので、無理に全日制高校に行かなくても高卒資格の取得を目指せます。
入学に必要な資料請求は無料でできますので、興味がある方はいくつかの学校の資料を取り寄せてみてください。