「甲子園」こと夏の全国高等学校野球選手権大会および春の選抜高等学校野球大会は、日本全国の野球強豪校が熱い戦いを繰り広げることで知られています。
そんな甲子園に通信制高校が出場することは快挙であることはいうまでもありません。これまで、どんな通信制高校が出場してきたのでしょうか?
甲子園出場できた通信制高校チームもある!
今まで甲子園出場を果たしてきた通信制高校は何校かあります。まず、2012年に長野の地球環境高等学校が春の甲子園初出場を果たし、2016年には北海道のクラーク記念国際高校が夏の甲子園初出場を決めました。
それぞれ、どのような経緯でこのような偉業をなすことができたのでしょうか。
春の甲子園に出場した地球環境高等学校とは
地球環境高等学校とは長野県佐久市に2002年に開校した通信制高校です。2002年にサッカー部が全国高校サッカー選手権大会に出場したことでも知られています。
野球部は2004年に設立され、甲子園出場高校を指導した経験もある監督を迎えています。2012年の第84回選抜高等学校野球大会において、通信制高校としては初めて甲子園に出場。卒業生の中にはプロ野球チームに入団した生徒もいます。
週に1日または3日登校するコースの他、6月と11月にそれぞれ5日の計10日だけ登校すればよいコースなどもあり、自分のペースで勉強できる通信制高校です。そのため、スポーツに集中して取り組みたい生徒にも支持されています。
夏の甲子園に出場したクラーク記念国際高校とは
一方、2016年夏の甲子園で、通信制高校として初出場したクラーク記念国際高校も大いにニュースを沸かせ、さまざまな記事になりました。こちらも、甲子園でベスト4入りをした名門野球部を指導した監督が采配をふるいました。
クラーク記念国際高校は過疎化が進む納内町にありますが、廃校になった中学校の校舎を活用して野球部寮を建設。遠征試合には高齢者を中心として20~30名がバスツアーを組んで駆けつけるなど、地域ぐるみで応援してきたことも特徴です。
野球部はクラーク記念国際高校のスポーツコースの所属となっていますが、スポーツコースの生徒は週5回の登校日があり、午前中は授業、午後からは専門科目という名目で練習をする毎日です。野球部員もそのような文武両道の日々を過ごし、見事栄光をつかみとりました。
出典:クラーク国際ってどんなチーム? 通信制高校が夏の甲子園
通信制高校で午後からは練習という毎日が可能な理由
全日制高校は五教科を中心として、一般科目だけで毎日の時間割が埋まっています。しかし、クラーク記念国際高校のように勉強は午前中だけという形態が可能なことを、疑問に思う人もいるでしょう。
じつは、通信制高校は学習指導要領を最低限満たしてさえいれば、自由な教育を実施することが許されています。そのため、通信制高校では全日制高校にはない体験ができるというわけです。
野球などスポーツを頑張るなら通信制高校が最適?
甲子園出場を目指す高校生は、学校生活の主軸を野球に置いているといっても過言ではありません。
野球だけに限らず、スポーツを頑張りたいと思ったら通信制高校を選択するのもひとつの方法でです。
スポーツに打ち込みたい人のための通信制高校もある
通信制高校というと、不登校やいじめに悩むためのものというイメージを抱いている人も多いかもしれません。確かにそのような側面もありますが「本格的にスポーツに取り組んでいるので、十分な練習時間を確保したい」という人のためのコースも充実しています。
実際、世界レベルで活躍している選手たちは、高校に通う時間も惜しんで練習に励んでいるものです。そこまでのレベルではなくても、勉強よりもスポーツを頑張りたいと考えている人もいるでしょう。
そんな時におすすめなのが、通信制高校なのです。通信制コースにはスポーツコースを設けているところも少なくありません。ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
通信制高校のスポーツコースに通うメリット
通信制高校ならば、基本的に自分の都合の良い時に勉強を進めることができるので、十分な練習時間を確保することができます。
なおかつ、高卒資格も取得できるのは安心できるポイントです。また、プロスポーツチームでの実習を行っている学校もあり、実践的な経験を積むことができるのでしょう。
どんなに努力してもプロのスポーツ選手になれるのは一握りです。もし、夢を叶えることができなかったとしても、スポーツ関連の資格やライセンスを持っていれば、仕事につなげることもできるでしょう。
通信制高校のスポーツコースでは、世界各国のトレーナー協会の資格を取得できる学校もあります。ぜひ、いくつか資格を取得しておくことをおすすめします。
通信制高校のスポーツコースに通うデメリット
「通信制高校では世間体が悪い……」と、誤解している人もいるかもしれません。しかし、現在では数多くのスポーツ選手、芸能人が通信制高校を利用していることもあり、昔とはかなり違ったイメージになっているのも事実です。
たとえばサッカー日本代表の柿谷選手、香川選手なども通信制高校に通っていました。また、V6の井ノ原快彦は20代後半に通信制高校に編入して高卒資格を取得し、その努力はむしろ大いに評価されています。
他にもプロゴルファーのような一線で戦うためには莫大な練習時間が必要なスポーツは、通信制高校との相性が非常に良いです。
「二つ目の甲子園」もある!
通信制高校のスポーツコースなどに在籍しながら、全日制高校がメインの甲子園に出場するというのは、めったにないできごとで誰もが目指せるわけではありません。
しかし、より身近な「二つ目の甲子園」もあることはご存じでしたか?
全国高等学校定時制通信制軟式野球大会
全国高等学校定時制通信制軟式野球大会とは、定時制高校と通信制高校を対象とした軟式野球の全国大会のことです。
会場にはおもに明治神宮野球場などで開催されますが「二つ目の甲子園」と呼ばれています。
定時制高校、通信制高校の取り組みは多様
甲子園を目指す通信制高校では、野球部員は学生寮で集団生活をしながら、午後からは練習という毎日を過ごしているケースも少なくありません。
しかし、一般的な定時制高校、通信制高校における野球部の取り組みはさまざまです。
たとえば全日制高校と校舎やグラウンドを共有している定時制高校では、どうしても部活動の時間を1~2時間程度しか取れないものです。
また、通信制高校は登校日が月に数日だったり、そもそもグランドがないなどの理由で、なかなか十分な練習をできないことも少なくありません。
定時制高校、通信制高校の試合風景
全国高等学校定時制通信制軟式野球大会では、客席の空白が目立つことも多々あります。定時制高校では昼間は働いている生徒も多く、なかなか応援の時間をとれないのは仕方のないことです。
また、全国各地に生徒が散らばっている通信制高校も少なくありませんが、そのような場合にはやはり皆が応援に駆けつけるというのは難しいでしょう。
しかし、2010年代に連続出場を果たした師友塾高等学校は、広島から大応援団が集結する姿が評判になりました。また、なかには全日制高校さながらにブラスバンド部による応援を繰り広げる学校もあります。
通信制高校では野球部以外の部活動もある?
時には甲子園や「二つ目の甲子園」を目指すこともできる野球部があることはわかりましたが、通信制高校ではそれ以外の部活動にも取り組むことができるのでしょうか?
通信制高校にはさまざまな部活動がある!
通信制高校には野球部、サッカー部、バスケット部、バレーボール部、柔道部、剣道部などの運動部、軽音楽部、美術部、吹奏楽部などの文化部があるところも少なくありません。
全国大会出場を目指す部活動がある一方、より自由なサークル活動も人気です。お気に入りの部活動が見つかるのではないでしょうか。
通信制高校の部活動はいつ行うのか?
通信制高校の部活動はスクーリングと呼ばれる登校日に行われます。スクーリングの頻度は学校によって異なり、多ければ週に5日、少なければ年に5日程度というところも少なくありません。
やはり、登校日が多い通信制高校ほど部活動も盛んな傾向がある様子です。詳細については、通信制高校の公式サイトなどを確認してみてはいかがでしょうか。
甲子園出場できた通信制高校チームまとめ
甲子園に出場するには、まず、野球名門校に進学するというのがこれまでの王道でした。確かに、今でも甲子園出場回数の多い高校に進むというのが無難な方法かもしれません。
しかし、野球名門校には全国から選りすぐりの野球エリートばかりが集います。中学時代に活躍した選手がとうとうレギュラーになれなかったということもめずらしくありません。
そこでおすすめしたいのが通信制高校から甲子園を目指すという方法です。通信制高校の中には、甲子園出場経験のある監督を招き、野球部育成に力を入れているところもあります。
しかし強い選手ほど野球名門校に引き抜かれてしまい、選手集めに苦労している通信制高校も少なくないです。
したがって、通信制高校の野球部はレギュラーになれる可能性がより高いともいえます。また、勉強は午前中だけで午後からは練習に集中できる環境を整えている学校もあります。
思いっきり野球に打ち込みたい人は、ぜひ通信制高校を選択してみてはいかがでしょうか。各学校がどのような取り組みをしているのかが分かる資料請求は無料でできます。